施設長あいさつ
施設長あいさつ
介護老人保健施設西美濃さくら苑は、1997年4月一市二町(大垣市・神戸町・池田町)が事務組合を結成、「この世を極楽に、この地を極楽に、人々を極楽に」をモットーに開設されました。運営は医療法人社団橘会に委託され、いわゆる公設民営事業所として現在に至っています。
以来、全国モデルを目指して、立派な福祉施設となるように、御利用者様の個々のご希望に応えるため、質の高い心温まるサービスの提供に努めております。
(以下、全老健機関誌『老健』2月号より引用・転載)
現場からのオピニオン ~介護現場はいま~
ハード、ソフトの両面から生産性の向上に取り組む
まずは私の経歴からお話ししたい。1980年代に厚生省医系技官として奉職中、老人保健施設創設時に準備委員として参画した。
1989年、東海北陸医務局(現東海北陸厚生局)時代には、国立長寿医療研究センター設立に向け、現長寿科学振興財団理事長、祖父江逸郎先生のもとでお手伝いさせていただいた。
2000年には介護保険制度が発足。介護保険法の目的は「要介護高齢者の自立支援」と規定され、続いて2005年には「尊厳を保持し」と改正がなされた。老健施設においては2017年に「在宅支援」機能が法律に付け加えられた。
この間、私は行政医官として、老人医療・介護福祉に関心を持ち、2006年、岐阜県西濃地域に位置する、当施設に管理施設長として勤務することとなり、14年が経過した。なお、在宅支援機能強化の改正は、今後の老健施設の方向性が示されるものとなった。
ここ10年余、介護認定調査委員として要介護認定に関わってきたが、要介護の判定において、発足当時より制度上優れている点は、介護にかかる手間を基準時間としてカウントする、「介護の見える化」が図られてきたことにある。しかし、認知症についての労力がきめ細かく配慮されておらず、この部分については未完成と言える。また、2005年に追加された「尊厳を保持し」についても、基準時間に反映されておらず、改良されるべきものと考える。
● 元気高齢者を採用
● スロープや介護支援ロボットの活用
● リエイブルメント
今日までの当施設の運営上の取り組みを案内し、また経験上の課題も合わせて紹介したい。
入所時判定会議利用者調査書は、支援相談員が記載、独居高齢者には担当民生委員がついて活動能力指標の記入をお願いしている。(1)
ケアチェックシートは、当初より3ヵ月ごとの判定会議の資料で、これにより利用者の病態像の経過、必要なケア、ケアプランとリハビリの見直しを多職種で検討している。(2)
医療用検温表を介護用検温表として改定。尿、便、保清・食事・経管栄養等の介護の経過を月単位で当施設用として改良した。(3)
栄養ケア計画の見直し・評価は、毎月の栄養管理委員会に管理表として提出される計画案であり、高中低リスクに加えて、カロリー以外の水分、嚥下、食事形態、排便、離床状態等も記載され、多職種各々の立場から検討が加えられている。(4)
多職種協働の老健施設においてリハビリは、医療における急性期・回復期・維持期リハビリではない。各利用者の目標に合った機能獲得リハビリ(利用者本位の考え方に基づくリエイブルメント)、生活行為向上リハビリ、社会参加リハビリである。リハレクは、週間・月間・年間別に企画している。午後は毎日利用者・家族・面会者・近隣の住民、当苑職員も交えて、無料のコーヒータイムも設けている。
また、リハビリ室には当苑オリジナルの生活リハビリスロープ・障害物・階段などを設置している。居宅の間取りや段差・トイレは入所前後訪問時の写真で把握し、在宅復帰に向けた生活に必要なリハビリは何かをリハビリ専門職が検討。計画書に起こし、近隣の社会資源を利用する方法の検討・評価をする。退所前後訪問においては、介護職がその時点の能力で居宅内生活が可能かを判定して在宅復帰させるように努める。これは正に、老健施設の理念の一つであるリハビリが、病院のリハビリとは異なる点にある。(5)
また、安心・安全・快適で、専門資格を活かした働きやすい職場にするため、元気高齢者に協力いただいている。
現在、パートを含め10名程の人材に、各々の条件(体力・時間・経験)に合わせて、20項目程の業務委譲を行い、円滑に運営している。これは外国人労働者導入に優先されるべき手法と考える。(6)
2019年、経済財政諮問会議の「経済・財政一体改革」に述べられたように、当施設も介護の生産性向上において、元気高齢者の活躍の場、ロボットセンサー・ICTの普及、活用を図るべく、鋭意更なる努力を続ける所存である。